『Introducing Kenny Burrell』BLP 1523
Tracklist
All compositions by Kenny Burrell except as indicated
1."This Time the Dream's on Me" (Arlen, Mercer) - 5:00
2."Fugue 'N Blues" - 6:48
3."Takeela" - 4:19
4."Weaver of Dreams" (Elliott, Young) - 4:43
5."Delilah" (Young) - 6:04
6."Rhythmorama" (Kenny Clarke) - 6:28
7."Blues for Skeeter" - 8:08
Recorded on May 29 (tracks 2, 3, 5) and May 30 (tracks 1, 4, 6 & 7), 1956.
Personnel
Kenny Burrell - guitar (tracks 1-5 & 7)
Tommy Flanagan - piano (tracks 1-5 & 7)
Paul Chambers - bass (tracks 1-5 & 7)
Kenny Clarke - drums
Candido - conga (tracks 1 & 3-7)
25歳のデトロイト出身のギタリスト、ケニー・バレルのブルーノートにおける初レコーディングは、1956年3月12日、トランペッター、サド・ジョーンズのメンバーとしてのものだった。だがこのときレコーディングされたのはわずか1曲、しかもライオンはそのテープを廃棄したことから、きたるべきレコーディングに備えてのリハーサルだった公算が強い。そのサドがスタジオを去った直後、今度はバレルをリーダーとしたレコーディングが行なわれる。
テナー・サックスのフランク・フォスターがスタジオに現れ、その他のメンバーはそのままバレルのために演奏する。レコーディングはさらにその翌13日にも行なわれる。今度はサド・ジョーンズがリーダーになり、バレルは一メンバーに徹する。それがサド・ジョーンズの『デトロイト・ニューヨーク・ジヤンクション』(1513)になる。
サド・ジョーンズのリハーサル(12日)と本番(13日)の聞に行なわれたバレルの演奏はどこへいったのか。ライオンは十分に水準に達していると判断したが、この若きギターの逸材の才能を世に知らしめるデビュー-アルバムとしては「弱い」と考えた。もっと、もっと強力な演奏ができるはずだ。原因はメンバー構成にあるとする。
2ヶ月後、ピアノの卜ミー・フラナガンはそのままにその他のメンバーを総入れ替えし、さらに、コンガ奏者キャンディドを加える。しかもレコーディングには連続して2日間あてる。ギタリストと縁の深かったブルーノートにとって、ケニー・バレルはライオンが久々に手にした若き才能であり、輝かしい未来だった。12インチLP時代に突入したブルーノートにとって初のギター・アルバムがここに誕生する。
きのうよりもきょう、きょうよりも明日をみすえていたライオンの叡献は、多くのミュージシャンに初レコーディングの機会を与え、同時に初リーダー・アルバムを残すことにつながる。だがケニー・バレルのデビュー作ほど完成度の高いものはそうはない。同時に、バレルのアルバムでありながら、ケニー・クラークとキャンディドによる打楽器だけの6分を超えるデュエットを収録したことは、構成上の演出もさることながら、ライオンの興味が”リズム” に向かいつつあったことを示す。それは1年後、「1554・1555」で爆発する。
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