『Lee Morgan Sextet』BLP 1541
Lee Morgan Sextet Tracklist
1."Whisper Not" (Golson) - 7:20
2."Latin Hangover" (Golson, Marshall) - 6:43
3."His Sister" (Golson, Marshall) - 6:32
4."Slightly Hep" (Golson, Marshall) - 6:27
5."Where Am I?" (Golson, Marshall) - 5:49
6."D's Fink" (Golson, Marshall) - 7:41
Studio album by Lee Morgan
Released:End of May 1957
Recorded:December 2, 1956
Van Gelder Studio, Hackensack, NJ
Genre:Jazz
Length:40:32
Label:Blue Note BLP 1541
Producer:Alfred Lion
ハンク・モブレーのアルバム(1540)の約1週間後レコーディング。しかもモブレー、リー ・モーガン、ホレス・シルヴァー、ポール・チェンパース、チャーリー・パーシップの5人は同じ顔ぶれ。ようは先のモブレー盤のトランペツター、ドナルド・パードがアルト・サックスのケニー・ロジャースに代わったにすぎない。一見、安易なレコーディングに映る。だがライオンの慧眼と企画力は、通常であれば「しかたがない」ような演奏が生まれても「しかたがない」ようなものにおいてこそ発揮される。
リー・モーガンにもヴィジョンはあったろう。だが「作品」に対するヴィジョンはあきらかにアルフレッド・ライオンのほうが勝っていた。その「ヴィジョン」 が明確であったことを、このルバムは示す。オリジナル・アルバムのジャケットの裏面には、こんなクレジットがある。"Compositions and arrengements by BENNY GOLSON and OWEN MARSHAL"これがこのレコーディングの「すべて」だ。ライオンのヴィジョンのなかには、この若き卜ランペッターが少なくとも現時点では「曲が書けない」ことも含まれていた。デビュー・アルバムにあたる「1538」ではホレス・シルヴァーの曲が冒頭を飾り、ベニー・ゴルソンやオーウェン・マーシャルやドナルド・パードの曲が並ぶ。すなわちモーガンのオリジナルは1曲もない。だがモーガンにみずから曲を書く必要は、あえてなかった。このトランペツターは「吹くだけ」で世界を変えることができる。そうであれば、もっと吹きたいように吹かせてやろうじゃないか。ライオンはその「ヴィジョン」 をさらに徹底させる。ゴルソン4曲、マーシャル2曲とし、のみならず全曲のアレンジまで委ねる。もっともモーガンにとってゴルソンはディジー・ガレスピー・オーケストラの仲間、マーシャルはフィラデルフィア時代からの友人だった。2人をライオンに紹介したのは、はかならぬモーガンだ。おそらくモーガンはその時点で自分に欠けているものを知っていた。その「欠けているもの」 を知っている2人、モーガンとライオンに迷いはない。その確信がこの名演を生んだ。ベニー・ゴルソン作《ウィスパー・ノット》を吹いたとき、トランペッターはまだ18
歳だった。
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