『Milt Jackson and The Thelonious Monk Quintet 』 BLP1509
Milt Jackson and The Thelonious Monk Quintet
Side 1:- "Tahiti"
- "What's New?"
- "Bags' Groove"
- "On the Scene"
- "Willow Weep for Me"
- "Criss Cross"
- "Eronel"
- "Misterioso" (alternate master)
- "Evidence"
- "Lillie" (alternate master)
- "Four in One" (alternate master)
リーダーにはなりたくなかった。楽器はなんでもこなせた。ギター、ヴァイオリン、ピアノ、ドラムス、ティンパニ、ザイロフォン、ヴアイブ。故郷デトロイトにいたころはエヴアンゲリスト・シンガーズというゴスペル・グループで歌っていた。だが、リーダーにだけはなりたくなかった。「だって、あれこれ責任を負わなくちゃならないだろ?私は面倒なことがだいきらいな性分なんだ」(ミルト・ジャクソン)
レコーディングの話がきたときは、だから仲間のピアニスト、ジョン・ルイス、べースのレイ・ブラウン、ドラムスのケニー・クラークにこう言った。「リーダーは俺じゃない、みんなの音楽をやるんだ」。やがてレイ・ブラウンは、そのころ妻だった歌手エラ・フイツツジェラルドとの仕事を選ぶ。ベースにパーシー・ヒースを迎えたグループは1952年4月、ブルーノートに5曲のレコーディングを残す。8ヶ月後、グループはグモダン・ジャズ・カルテットグと名乗る。ドラマーがケニー・クラークからコニー・ケイに代わる。ミルト・ジャクソンの理想どおり、リーダーのいないグループの歴史がはじまる。
謎かけか。「1509」のジャケットには、ミルト・ジャクソンのアルバムでありながら、小さくグ・・・セロニアス・モンク・クインテットと添えられている。表現に不思議はない。そのモンクのクインテットにはミルト・ジャクソンも参加している。それが「ミルト・ジャクソンのアルバム」 に併録されているにすぎない。だがこの小さく添えられた表記は、つづく2枚のセロニアス・モンクのアルバムを暗示する。しかもその2枚のアルバムのいくつかの曲にもミルト・ジャクソンは参加している。さらにはこの「1509」にしても、すべての曲、がミルト・ジャクソンのリーダーレコーディングによるものではない。
解けない謎はない。ライオンは「1509」から「1511」までをモンクの作品集として捉えた。あえて3枚シリーズにしなかったのは、セールスを懸念してのことだ(ライオンの不安は、2枚に減らしたところで的中する)。そしてこの事実は、ライオンがモンクをピアニストとしてと同時に、あるいはそれ以上に作曲家として評価していたことを伝える。セロニアス・モンクという名の山脈は、この「1509」からはじまっていた。
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