2015年12月20日日曜日

『Jimmy Smith at the Organ』BLP-1525

 

















Tracklist
All compositions by Jimmy Smith except as indicated1."Judo Mambo" - 5:31
2."Willow Weep for Me" (Ann Ronell) - 5:41
3."Lover, Come Back to Me" (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) - 6:42
4."Well, You Needn't" (Thelonious Monk) - 6:23
5."Fiddlin' the Minors" - 5:08
6."Autumn Leaves" (Joseph Kosma, Johnny Mercer, Jacques Prevert) - 4:43
7."I Cover the Waterfront" (Johnny Green, Edward Heyman) - 3:38

Studio album by Jimmy Smith
Released:1956
Recorded:June 17 & 18, 1956
Genre:Jazz
Length:66:01
Label:Blue Note
Producer:Alfred Lion

4ヶ月前、はじめてレコーディング・スタジオに足を踏み入れた30歳のオルガン奏者は、緊張から言葉数が少なかったという。ミュージシャンにとってもはじめての経験なら、プロデューサーやエンジニアにとっても、なにもかもがはじめてのことだった。それはいまにしてみれば、ジャズの世界と、ニュージャージー州ハツケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオにはじめて鳴り渡った”エレクトリック・サウンド” だった。

エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーは《ザ・チャンプ》の録音に失敗し、プロデューサー、アルフレッド・ライオンは「ドラマーに難あり」 と結論を下す。オルガン奏者ジミー・スミスは、「ここをジャズ・クラブと思えばいい。いつもクラブ でやっているようにやればいい」というライオンの言葉を受けて、
ブルーノートからのデビュー作を録音した(1512〉。

ライオンの行動は素早かった。約1ヶ月後に行なわれた2回目のレコーディングから、ドラマーが”ドナルド・ダッグ”というニックネームをもっドナルド・ベイリーに代わる。そして懸案の《ザ・チャンプ》が生まれる(1514)。

ジミー・スミスのリーダー・アルバムは1500番台に最多の22枚を数える。それだけ売れていたと結論づけるのは簡単だが、ライオンが執拗にこのオルガン奏者をレコーディングしていた時点では、まだ売れるかどうかさえわからない「無謀な賭け」だった。例によって、惚れ込んだら突き進むライオンは、この新しい興奮を運んでくるオルガン奏者をレコーディングしなければ「ならなかった」。

だがジミー ・スミスの人気に火がつくのは時間の問題だった。オルガンという、黒人にとってもっとも身近な楽器をまるで曲芸のように自在に操る男は、同胞である聴衆が求めてやまない興奮とグルーヴをもっともわかりやすいかたちで表現した。聴衆は「あの男には手が4本ある」と騒ぎ、ジュークボックスに群がった。

アルバムは3枚つくった。そろそろライヴ・レコーディングしてみるか。そのオルガン奏者と出会った『スモールズ・パラダイス』の夜を思い出しながら、ライオンはそう考えた。

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