2015年12月15日火曜日

『HANK 』BLP 1560

 
Tracklist
All compositions by Hank Mobley except as indicated.
1."Fit for a Hanker" - 7:24
2."Hi Groove, Low Feedback" - 9:56
3."You'd Be So Easy to Love" (Porter) - 5:39
4."Time After Time" (Cahn, Styne) - 6:48
5."Dance of the Infidels" (Powell) - 7:54

Personnel
Hank Mobley - tenor saxophone
John Jenkins - alto saxophone
Donald Byrd - trumpet
Bobby Timmons - piano
Wilbur Ware - bass
Philly Joe Jones - drums

『バードランドの夜』から31年と1日が過ぎた1985年2月22日、ニューヨークのタウンホールでブルーノートの復活祭『ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート』、が聞かれた。その主宰者ブルース・ランドヴァルの回想。「私は引退していたアルフレッド・ライオンに出席してもらいたいと考えた。そこで電報を送った。翌日、電話がかかってきた。”ブルース? アルだ。ペンをもってるかい? テナーサックスはデクスター・ゴードンとハンク・モブレーだ。おっとハンクはまだ演奏していたかな? アルト・サックスはジャッキー・マクリーンだ・・・・。

彼はそうしてすべての楽器に対して私たちが声をかけるべきミュージシャンの名前を挙げていった。私はこうこたえるしかなかった。”イエス、イエス、ミスター・ライオン、ちゃんとメモしましたよ。ちょっとルース(ライオン夫人)と話したいんですが” ライオンが「まだ演奏していたかな?」と気にとめたハンク・モプレーは、すでに演奏していなかった。いや演奏はしたかった。だが1970年代以降は健康を害し、フィラデルフィアでひっそりと暮らしていた。「もちろん私たちはハンクを探し出した。そしてアルフレッドに会いにニューヨークまできてほしいと頼んだ。彼は、きてくれた」(ランドヴアル)その夜、ハンク・モブレーがステージに立つことはなかった。もう何年もテナー・サックスを吹いていなかった。ライオンの目前でぶざまな演奏を聴かせるわけにはいかない。55歳の元ジャズ・ミュージシャンは、ただただライオンに会いたかった。

おそらくはこの夜の再会と久々に吸ったニューヨークの空気のせいだろう、モブレーは、ふたたびテナー・サックスを手に取り、懸命に練習に励む。ピアニスト、デューク・ジョーダンがモプレーを助け、ついには、さほど有名でないジャズ・クラブのステージに立つまでになる。だが時間は残されていなかった。数ヶ月後の1986年5月、27歳のモブレーは、肺炎によって他界する。享年56歳。

1957年4月21日。ライオンが見守るなか、5枚目のリーダー・アルバムをレコーディングしていた。トランペッターはドナルド・バード。アルト・サックスは、ジョン・ジェンキンス。ピアノはボビー・ティモンズが弾く。ウィルバー・ウェアがべースを刻み、フィリー・ジョー ・ジョーンズが熱いビーを送り込む。


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