『The Champ 』 BLP-1514
Tracklist
1."The Champ" (Dizzy Gillespie)
2."Bayou" (Smith)
3."Bubbis" (Smith)
4."Deep Purple" (DeRose, Parish)
5."Moonlight in Vermont" (Blackburn, Suessdorf)
6."Ready 'N Able" (Smith)
7."Turquoise" (Smith)
Released:1956
Genre:Soul jazz, hard bop
Label:Blue Note
8分36秒。鳴りやまないオルガンのサウンドが豪雨となって降りそそぐ。《ザ・チャンプ》。アルバムの一曲目を飾るこの演奏をジミー ・スミスの最高傑作とする人は多い。チャーリー・パーカーとコンビを組んでいたトランペツター、デイジー・ガレスピーがつくった曲にがオルガンのチャーリー・パーカーがソウルを叩きつける。いまも十分に衝撃的なスミスの演奏は「1956年の人々」 を混乱に陥れる。
エンジニア、ルディ・ヴアン・ゲルダーは約1か月前のレコーディング(1512)でこの曲の録音に失敗する。それがマスターテープが廃棄された理由だ。ジミー・スミスとオルガンの登場は、この録音の名手をも戸惑わせた。一度は消滅した《ザ・チャンプ》はこの2枚目のアルバムにおいて再演され、完全なるかたちで収められる。「1512」と「1514」の間にはヴアン・ゲルダーによる「ジミー・スミス・サウンドの発見」が横たわっている。
レコーディングは1956年3月、すなわち「1512」、が発売されていないにもかかわらず行なわれる。やがてブルーノートのドル箱となるスミスは1500番台に13枚ものリーダー・アルバム、そのアルバムから抜粋された20枚もの45回転シングル盤を残すが、「売れる」という側面があったにせよ、この初期2枚のアルバムが物語っているように、背景にあったのは、またしてもライオンの衝動だけだった。8分を超える《サ・チャンプ》をノーカットでシングル盤にしたい。方法はひとつしかない。演奏を分断して両面に収録する。ライオンは、そうした。アルバムにせよシングル盤にせよ「売れる」保証はどこにもない。いや、むしろ「売れない」公算のほうが大きかった。
「販売業者の反応はよくなかった。”何者だ、ジミー・スミスって? (レコードを聴かせる)まるで鳥がさえずっているみたいだな。じつに、じつに不思議だ。(しばし考えたのち)そうだな、まあ10枚もらっておくか”そんな感じだった」(ウルフ) 1950年代、ヒットの口火はジューボックスによって切られた。「1512」から3枚、「1514」から2枚ジュークボックス用シングル盤によってジミー・スミス人気に火がつ
く。 あとは・・・これまでと同じようにレコーディングをつづけるだけだった。
0 コメント: