『The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1』BLP 1505
The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1
1. "Capri" Gigi Gryce 3:37
2. "Lover Man" Jimmy Davis, Roger ("Ram") Ramirez, James Sherman 3:50
3. "Turnpike" J. J. Johnson 4:15
4. "Sketch 1" John Lewis 4:21
5. "It Could Happen To You" Johnny Burke, Jimmy Van Heusen 4:42
6. "Get Happy" Harold Arlen, Ted Koehler 4:47
7. "Capri [alternate take]" Gryce 3:47
8. "Turnpike [alternate take]" Johnson 4:10
9. "Get Happy [alternate take]" Arlen, Koehler 4:11
Released:1955
Recorded:June 22, 1953
Genre:Jazz
Length:37:44
Label:Blue Note
アルバム・ストーリー
ある白人ジャズ評論家は「ビパップはしょせんはビールの泡(ビアー・ホップ)だった」と嘲笑まじりに榔撤する。1950年代初頭、ビパップの炎は消えつつあった。
1940年代後半、アルト・サックス奏者チャーリー・パーカーを中心として巻き起こった"ピパップ"と呼ばれる新しいジャズのムーブメントは「革命」だった。だがパーカーが第一音を吹き放った瞬間、その「革命」は「終わりのはじまり」を迎えていた。レコード一枚あたりのプレス枚数は限られていた。販路はあってないようなものだった。革命の音楽が大衆の耳に届く機会はほとんどない。届いたとしても理解されることはむつかしかった。「革命」はニューヨークのハーレムから52丁目にかけて局地的なものにとどまる。
ビバップの停滞は、やがてビバップを基本により聴きやすくした”ハード・バップ”を生む。だが40年代後期から50年代初頭にかけて、チャーリーパーカーの次世代にあたる若き革命家たちにとっては長く暗いトンネルに置き去りにされたも同然だつだ。トロンボーンの名手として脚光を浴び、有能な作曲家としてしても嘱望悶望されていたJJ ジョンソンもそのトンネルのなかの一人だった。ジャズの未来に絶望したJ・J は28歳の若きで第一線から身を引き、ロングアイランドで一般職につく。狭い事務所の机の上、それがJJ ジョンソンに与えられたステージだった。
ブルーノー卜へのレコーディングは1950O年、トランペッターのハワード・マギーのメンパーとして参加したのが最初で最後。引退中の1952年、JJが参加したブルーノー卜のレコーディングはマイルスデイヴィスとの4曲のみ。翌53年4月にも例外的にマイルスのレコーディングに参加するが、これがきっかけとなって2ヶ月後、ブルーノートにおける初のリーダーとしてのレコーディングが行なわれる。トランペットにクリフォード・ブラウン、テナー・サックスにジミー・ヒー ス、そしてリズム・セクションに結成されたばかりのモダン・ジャズ・カルテットの3人を起用した演奏は、混沌としたピパップの喧騒を脱した響きが瑞々しい。とくにJJ 作《ターンバイク》、ジジ・グライス作《カプリ》。
きたるべきハード・パップの時代は「作曲」から口火を切る。
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