『Horace Silver and the Jazz Messengers 』BLP 1518
Tracklist
All songs written and composed by Horace Silver except where noted..
Side 1
1. "Room 608" (*) 5:22
2. "Creepin' In" (*) 7:26
3. "Stop Time" (*) 4:07
4. "To Whom It May Concern" (**) 5:11
Side 2
5. "Hippy" (**) 5:23
6. "The Preacher" (**) 4:18
7. "Hankerin'" (**) Hank Mobley 5:18
8. "Doodlin'" (*) 6:45
(*) Originally released on 10" LP Horace Silver Quintet (BLP 5058)
(**) Originally released on 10" LP Horace Silver Quintet, Vol. 2 (BLP 5062)
Personnel
Performance
Horace Silver - piano
Kenny Dorham - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
Doug Watkins - bass
Art Blakey - drums
Production
Alfred Lion - production
Reid Miles - design
Rudy Van Gelder - engineering
Francis Wolff - photography
アルバム・ストーリー
ホレス・シルヴァーが最初のリハーサルで《ドゥードリン》を弾いたとき、ライオンは満足した。だが2回目のリハーサルで、やがて最大のヒット曲のひとつになる《ザ・プリーチャー》を弾いたとき、こう思った。「なんとつまらない曲を書いたんだろう」。それはシルヴァーがイギリスに伝わる《ショウ・ミー・ザ・ウェイ・トゥ・ゴーホーム》という曲をヒントに書いた自信作だった。
ライオンは《ドゥードリン》とその「つまらない曲」をカップリングして、45回転シングル盤として発売する。《ザ・プリーチャー》は捨て曲のようなものだった。だが、これが売れた。売れに売れた。黒人が日常的に音楽に接することができるパーやクラブに設置されていたジュークボックスでは何度も何度もこのシングルがかかった。とくに《ザ・プリーチヤー》に人気が集中する。ジミー・スミス同様、ブルーノートのドル箱となるホレス・シルヴアーもまたジュークボックスから火がついた。
このアルバムはブルーノートで唯一、シルヴァー名義で発売されたジャズ・メッセンジャーズの作品だが、実質的にはジャズ・メッセンジャーズ誕生以前に行なわれたシルヴァーの二回にわたるレコーディングを12インチLP化したものだった。メンバーがまったく同じであること、またこのメンバーによるジャズ・メッセンジャーズのアルバムがすでに発売されていたことから、いわば「もう一枚のジャズ・メッセンジャーズ」として送り出す。
ハンク・モブレー作の《ハンカリン》を除く全曲がシルヴァーのオリジナル。アルバムはシルヴァーが滞在していた安宿の部屋番号をタイトルにした《ルーム608》から、ライオンがいう「つまらない曲」を経て《ドゥードリン》まで、間断なく転がるようにファンキーに、ソウルフルに展開する。すでにジャズ・メッセンジャーズのサウンドと個性は、シルヴァーが書いた「曲という器」のなかで産声をあげていた。
晩年、ライオンはジャズ・プロデューサー、マイケル・カスクーナに質問を受ける。「いまでも《ザ・プリーチヤー》はダメですか」。80歳になろうとしていた元プロデューサーはこたえた。「いまでもあの曲はコーニー(corny)だと思っている」
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