『Whims of Chambers』BLP1534
ポール・チェンパースがニューヨークにやってきたのは、1954年4月、19歳のときだった。たちまち売れっ子になったチェンパースは、1年と数か月後にはマイルス・デイヴィスのレギュラー・べーシストになっていた。すでにブルーノートのレコーディングにも顔を出していたが、まだリーダー・アルバムの声はかかっていない。
だが機会は意外にも早く訪れる。チェンパースのはじめてのレコーディングは、マイルスとコロンビア・レコードで《ラウンド・アバウト・ミッドナイト》をレコーディングしたわずか11日後に行なわれる。
メンバーのジョン・コルトレーン、フィリー・ジョー・ジョーンズの2人は、そのマイルスのグループの仲間だ。トランペッターには、チェンパースが以前に参加していたジョージ・ウォーリントンのグループからドナルド・バードが駆けつける。コルトレーンとバードにとっては、これがブルーノートにおける初レコーディングになる。
このメンバーに、ライオンは、ピアノのホレス・シルヴァー、ギターのケニー・バレルを加える。
レコーディングは変則的な編成と進行で行なわれた。まず全員で2曲演奏する。1曲目は、ドナルド・バードがこの日の6人のために書いた《ウィ・シックス》だ。つづく3曲目ではトランペット、テナー・サックス、ギターが抜け、ピアノ・トリオになる。4曲目になると、そのトリオにギターだけが加わり、次の2曲でふたたび全員による演奏になる。そして最後の7曲目でテナー・サックスだけが抜ける。こうしてレコーディングされた7曲がさらに新たな順序で収められる。
ライオンにとって、それはポール・チェンパースというべーシストをテーマにすえた「コンセプト・アルバム」だった。あらゆる楽器編成で、この才能豊かなべーシストの多彩な局面を引き出す。最多が「6」。最少「3」、それがライオンが導き出した答えだった。それは一見、気まぐれ・思いつき(whims)のようにみえるが、例によって周到に計画されていた。
チエンパースはブルックリンの小さなアパートに住んでいた。ジャケットでは、その小さなアパートを出て大きなべースをかかえながら、ブルックリンを歩くチェンパースが、うつむきかげんで微笑んでいる。フランシス・ウルもまた21歳のべーシストを見事に「記録」した。
ドナルド・バード(tp)
ンヨン・コルトレーン(ts)
ケニー・パレ)(g)
ホレス・シルヴァー(p)
ポール・チェンパース(b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
1 0MICRON オミヲロン
2 WHIMS OF CHAMBERS ウイムス・オ"ブチェンパース
3 NITA ニタ
4 WE SIX ウィ・シックス
5 DEAR ANN ディアアン
6 TALE OF THE FINGERS テイルオブザ・フィンガーズ
7 JUST FOR THE LOVE ジャストフォー・ザ・ラヴ
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