2015年12月20日日曜日

『The Magnificent Thad Jones』BLP 1527

 













Studio album by Thad Jones
Tracklist
1."April in Paris" (Vernon Duke, E. Y. Harburg) - 6:43
2."Billie-Doo" (Thad Jones) - 7:30
3."If I Love Again" (Jack Murray, Ben Oakland) - 7:27
4."If Someone Had Told Me" (Peter DeRose, Charles Tobias) - 5:51
5."Thedia" (Jones) - 10:35
6."I've Got a Crush on You" (George Gershwin, Ira Gershwin) - 7:38 Bonus track on CD reissue
7."Something to Remember You By" (Howard Dietz, Arthur Schwartz) - 3:53 Bonus track on CD reissue
Recorded on July 9 (#7) and 14 (all others), 1956.
Personnel
Thad Jones - trumpet
Billy Mitchell - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar (track 7)
Barry Harris - piano
Percy Heath - bass
Max Roach - drums

Studio album by Thad Jones
Released:January 1957
Recorded:July 9 & 14, 1956
Van Gelder Studio, Hackensack
Genre:Jazz
Length:38:06 original LP
Label:Blue Note BLP 1527
Producer:Alfred Lion


ベリー・ゴーディ・ジュニアという若者が「車の町=モータータウン」ことデトロイトをリズム& ブルース一色で塗り替えて”モータウン” とするまえから、ミシガン州はブラック・ミュージックの温床だった。パリー・ハリスやトミー ・フラナガン(ともにピアノ)、ケニー・バレル(ギター)やドナルド・バード(トランペット)、そしてハンク(ピアノ)、サド(トランペット)、エルヴィン(、ドラムス)のジョーンズ3兄弟は” モータウン以前” のデトロイトとその周辺から輩出する。

同じころ、ノースカロライナからフィラデルフィアを経てジョン・コルトレーンが、シカゴからジヨニー・グリフィン、が、ピッツパーグからスタンリー・タレンタインらがニューヨークに導かれるようにしてやってくる。こうしてニューヨークはジャズのメッカになる。

サド・ジョーンズがカウント・ベイシーに出会ったのは、オクラホマだった。1954年から9年間、サドが《エイプリル・イン・パリ》でトランペット・ソロを吹かなかった夜はない。「毎晩、同じ曲ばかり演奏していてよく飽きないものだ」。サドは飽きなかった。そんな声にはこう考えた。みんなは知らないだけだ、ベイシーは2週間仕事をしたら2週間休むんだよ。

はじめてアレンジらしきものをしたのは22歳のときだ。叔父の海軍バンドのために、ちょっと手伝った。それがすべてのはじまりとなる。兄のハンクはピアノを弾き、弟のエルヴィンはドラムを叩く。これ以上の環境はない。だがサドはトランペットを吹くかたわら、曲を自在に料理できるアレンジの妙味に魅せられる。トランペッター兼アレンジャー。クインシー ・ジョーンズもまったく同じだ。クインシーはトランペットを捨てたが、サドは生涯、トランペットを吹き、5線紙に向かった。

アルバムの1曲目は「飽きないか」と榔撤された《エイプリル・イン・パリ》だ。サドの意地とアレンジャーとしての自信が顔をのぞかせる。ほうら、毎晩演奏している曲だって、こんなふうになるんだよ。ドラムスのマックス・ローチ以外、全員が”モーター・タウン” からやってきた。そしてニューヨークから世界へと駆け抜けていく。


 

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